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クッションや車椅子 [体位のこと]

病院にいた頃には普通の車椅子と、リクライニング、

そのくらいの区別はありましたが、それほどいろんな機能が

ついている車椅子は施設で働くようになって初めてみました。

そもそも「手引き歩行」という言葉も大学病院では

聞いたことのない介護用語で、「ご不浄」などという言葉も

しばらくは「牧場」に聞こえていたので、どうして「牧場」に

行きたいっていうのか不思議に思っていたくらいです。


病院では体位変換も専用の三角のクッションがあって

ちょうど肩からお尻のあたりまできちんと支えることができるものが

準備されていました。車いすに座りっぱなしという生活もないので

ロホクッションの必要性もありませんでした。

ポジショニングといっても、ベッド上での良肢位を保つことが多く

車椅子などでの姿勢にこだわるような時間は少なかったと思います。

施設に来て、専用のクッションではなく、座布団や枕を使っていることを

多く見かけるようになり最初は違和感を感じていましたが

それも少しずつ見慣れてくると、不自然ではなくなってきました。



車椅子についても、足台が横に開いたり、ボードでの移乗のため

手すりが上に上がったり、下がったり、取れるようになっているものや

背もたれの角度だけでなく、足の方の角度と連動して動くようになっている

車椅子などいろいろな種類があってそれぞれの使い方がわからず、

どこがどう動くのか、その都度やってみたりしながら覚えています。


専門の知っている人が必ずしもいるとは限らず、看護ではなく

介護職員の中でもそれほど詳しく知っている人ばかりではないので

せっかくの良い性能を持つ車椅子も、宝の持ち腐れになっている

という可能性もあります。


車椅子やクッションの選び方、なかなか勉強する場もなく、

現場での経験を積んで覚えていかなくてはいけない、というところです。。。

ターミナルの時の点滴 [ターミナルについて]

家族からは「点滴したら元気になって身体も楽になるのでは?」

っていう質問をされることがあります。

今まで浮腫みがひどくて利尿剤を使ってちょうどよく

コントロールしていたり、心臓もそれほど丈夫じゃない、って

90代後半にもなれば誰でもほとんどの方がそんな感じになることが

多いのかもしれませんが。。。


特養施設では基本的に病院ではないので、夜間看護師不在の間も

持続の点滴をつないでおくことはあまりないことだと思います。

点滴の針が抜けてしまったときに気が付かなくて、出血多量に

なることも考えられますし、点滴の交換も介護職員にお願いしても

良いことだとは考えられません。

そうなるとIVHなどの高カロリー輸液はできず、抹消血管から入れる

普通の点滴のみ、看護師のいる時間でという開業医と同じレベルが

精一杯の対応ということになります。

家族だけでなく本人からも

「点滴すればご飯を無理して食べなくても大丈夫なの?」

っていう質問もありました。

でも、抹消の手や足から入れる点滴ではカロリーはそう高いものは入れられません。

ポカリスエットを飲むのと同じような電解質のバランスが整った

水分補給程度になってしまいます。口からジュースが飲めているのなら

点滴までして水分を補う必要がどのくらいあるのでしょうか?


ターミナル期の倦怠感、身の置き所のない辛さ、

そういうのは必ずしも脱水からのみおこりうるとは考えにくく

貧血だったり、肝、腎機能悪化だったり、長期臥床による苦痛だったり

何が原因で安楽を阻まれているのか、きちんと多角的にアセスメントしないと

分からないことだと思います。ただ、検査データがないと判断できないことも多く

推測で対応するしかないことも病院とはちがう施設の難しいところです。


点滴をして体内の水分を増やすことで、もしかしたら心臓に

負担をかけてしまうことになるかもしれないですし、

貧血の血液がさらに薄くなって、身体がだるいと感じてしまうかも

しれません。したほうが良い、しないほうが良い、というのは

誰にもわからないことかもしれません。

その判断を家族や、看護師が簡単にしてしまうことはできません。


本人の気持ちを優先しつつ、それぞれの家族が看ている立場の気持ちではなく、

本人の気持ちを上手に確認して本人の希望に沿うような形での

ターミナルを手助けできれば、と思っています。




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