SSブログ

生命力 [ターミナルについて]

医師には余命〇カ月、という宣告をされていたとしても、

決してそれが当たるとは限りません。

生命兆候が弱ってきているということを看護として実感して、

たぶんこの人はあと少しの間しか生きることができないだろう、

っていう予想はなんとなくすることができます。

でもその予想も、とても不正確なもので予想をすること自体

ひどい話だと思います。

専門職として、その時が近づいてきたら心の準備もします。

最近は、自分たちだけではなく、介護職員の精神面も考えて

できるだけ突然ではなく、いつその時がきてもおかしくない状態だ、

ということを何度となく口にするようにして介護職員にも心の準備を

していてほしいと思っています。



でも、生命力とは本当に測り知れないものです。

尿もかなり少なくなり、足の指にはチアノーゼがでてきて

もうそろそろなのかもしれない、って思っていても

そこからまた回復して元気になるということもあるんです。

あと少し、きっと桜は見れないだろう、なんて思い頑張って死ぬ気で

モクレンを見に行ったと思ったのに、桜もみることができた!

そんな嬉しいこともあります。



生命力は決して薬の効果だけではありません。

その人の精神力、免疫力、いろいろなものが絡み合って

今日消えてしまうかもしれない命が、ある人の面会によって

生きる力を強くして、あと1週間の延命につながることもあるのです。

それを考えると、いつもそばで介護している職員の存在は

その人の生命力を左右してしまう、一番重要な位置にいることになります。

その人にとってどのくらい気持ちの良い、過ごしやすい空間を作るかで

免疫力が高まったり精神的にも強くなり一日でも、何時間かでも

命をつなぐ時間が持てるのだと思います。


そんな貴重な最期に立ち会えるということは、このような職業についていなくては

経験することのできないことです。

いろいろな人がいますが、自分の死を受け入れていく過程、

心の中はとても尋常なものではないと思います。

長く生きることが幸せではない、という高齢者の方もたくさんいますが

そうではなくこれだけ生きていられて本当に幸せだった、って

思ってもらえるような関係を作って、傍にいさせてもらいたいと思います。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。